2010年度イベント情報
■第27回全日本ウェイト制大会|6月
12・13日|大阪府立体育館
6月12・13日、大阪府立体育会館にて第27回全日本ウェイト制大会が開催されました。中村道場からは15人の精鋭が参戦し、2日間に渡って熱戦を展開。中量級には過去の実績より福井祐樹選手(本部直轄柏道場)と松岡朋彦選手が組み合わせ表の両端に配されました。優勝候補筆頭である両雄を軸に若手・中堅・ベテラン選手たち107人が乗船した大トーナメントが大海原に
出航。航海の先にある最終目的地は来年に迫った世界大会。そこに到達する為には各々が定める目標を本大会で達成せねばなりません。松岡選手は緒戦、中段回し蹴りによる一本勝ち。2戦目も危なげない判定勝ちを収め2日目進出を決めます。一方の福井選手は、動きに若干堅さを見せるも、得意の下段
回し蹴りを有効に決め2日目に駒を進めます。
有力選手が勝ち名乗りを上げていく中、初日のハイライトとも言える一戦が執り行われました。中村昌永選手とギガ・シャマタバ選手(ロシア)の一騎打ちです。ユース大会から実績を積み重ねてきたギガ選手は5月22日に開催されたヨーロッパ大会において見事中量級チャンピオンの座を射止めました。一方、中村選手は前大会初出場でベスト8の実績を上げ、中村道場若手グループの期待を一身に背負っています。静かな立ち上がりを見せた序盤戦も中盤に差し掛かり動きが増します。ロシア選手の強烈な突きが中村選手の胸板に突き刺さりますが上体を起こすまでにはいたりません。中村選手は左右の突きから下段に繋げる正攻法。特に奥足を狙う内股蹴りが有効に決まります。残り30秒を切って中村選手がラッシュをしかけます。5,6秒ほどおいてギガ選手
がラッシュを開始。目まぐるしく動く両雄ですが、体全体を旋回させダイナミックに打ち込んでいくギガ選手の動きが印象に残ります。しかし延長戦ではギガ選手の動きが鈍ります。技が単発になり相手に体を預ける場面が多くなります。中村選手は本戦でうまく機能した内股蹴りに膝蹴りをかぶせ、相手の右足に確実にダメージを蓄積。終盤でのラッシュ合戦でも打ち負けず、5−0の
完勝を収めました。予選2回戦での戦いとは思えない白熱した一戦に観客から大きな拍手が送られました。
しかし好調に見えた中村選手も2日目予選4回戦で同門の山田拓馬選手(大阪南支部)に取りこぼしを許してしまいます。池本理師範代を先生にもつ山田選手は、師匠譲りのハートの強さを武器に、ウェイト制初参戦ながら強豪相手に臆することなく初日を突破。中村選手を相手にも互角の戦いを展開し僅差の勝利をものにしました。開会式後の準々決勝では、素早い突きの連打で福井選手を攻め込みます。優勝候補である福井選手を若干後退させる場面も随所に見られ、番狂わせの可能性に場内が沸きました。延長戦では、右内股蹴りを足がかりにした福井選手
に攻勢を許し判定負けを喫しましたが、若干18歳である山田選手の躍進は中村道場若手陣にとって明るい材料となりました。
山田選手が敗れ、中村道場最後の一人となった松岡選手。孤軍奮闘の活躍は、4回戦タイソン・ナイトウ選手(アメリカ)
に左上段回し蹴りによる技ありを含む判定勝ち、準々決勝ではここ数年上り調子の四反田将選手(鹿児島支部)に的確に下突きを決め撃破、ベスト4入りを決めました。しかし目標であった王座奪回まで残り2勝に迫った準決勝で試練が待ち構えていました。準決勝での相手は高橋佑汰選手(城北支部)。17歳の若武者はユース部門で実績を残すものの経験豊富な猛者が集うウェイト制ではノーマークともいえる存在だったはずです。しかしそういった戦前の予想に反し、強豪を次々と退け、飛ぶ鳥を落とす勢いでトーナメントを駆け上がっていきました。準決勝、決勝では松岡選手、福井選手という優勝経験者にそれぞれ判定勝ちし、初出場初優勝の栄冠に輝いたのでした。
高橋選手の戦法はリーチを活かした足技で相手の出鼻を挫き制空権を保つことです。矢継ぎ早に繰り出される前蹴り、中段回し蹴りは相手にダメージを蓄積させるほどの威力は感じませんが、その速度と連続性は相手に精神的ダメージといえる「焦り」を与えるようです。経験のある選手にとって、高橋選手のようなタイプの選手対し、攻勢を挽回するため距離を詰め懐に入ろうとする策は自然といえます。一般に、蹴り技を主体とする選手は接近戦に難があり突きに対する耐性に脆さがあると考えられるからです。しかしこの若武者にそのような一般論は当てはまりませんでした。試合中盤にさしかかり、相手が接近してくると同時に戦略をスイッチ。長い蹴りを捨て、豪快な膝蹴りの連打にシフトします。対戦相手を心理的陥穽に落としいれ、試合の主導権を
終始保持する一連の流れは高橋選手の類稀な組手センスを表しています。初対戦で高橋選手の機略に富んだ動きに慣れるには3分というのはあまりにも短い時間と言えます。百戦錬磨の松岡選手にとっては「見事足元を救われた」というのが実感ではないでしょうか。
4階級全ての部門で新チャンピオンが誕生した今年のウェイト制。精強で若い有望株が台頭し、組織の新陳代謝を図るのは世の常です。そういった普遍原理を垣間見た2日間でした。彼らの真価は秋の全日本で決まるといっても良いでしょう。
新陳代謝が組織成長の必須条件とするならば、その波は中村道場選手勢にも及ばねばなりません。住谷選手、徳田選手という、過去10年に渡って関西の
顔役であり続けた両雄が選手引退した今、若い力の急進が望まれるところです。今大会における山田選手、中村選手の活躍を中村道場若手陣の嚆矢としてとらえ、後続を次々に送り出すことが支部にとっての課題であり轍鮒の急と言えそうです。
大会結果(敬称略)
軽量級
優勝: 藤田雄也 (愛媛支部)
準優勝: 澤村勇太 (総本部)
3位: 大杉将斗 (川崎中原支部)
4位: 寺島大介 (城西国分寺支部)
中量級
優勝: 高橋佑汰 (城北支部)
準優勝: 福井裕樹 (直轄柏道場)
3位: 松岡朋彦 (兵庫支部)
4位: ピョートル・モチドウスキー (ポーランド)
軽重量級
優勝: タリエル・ニコラエシビリ (ロシア)
準優勝: 森善十朗 (東京城西支部)
3位: 村岡賢和 (直轄札幌道場)
4位: 小林大起 (東京城西支部)
重量級
優勝: 荒田昇毅 (千葉南支部)
準優勝: 谷口誠 (鹿児島支部)
3位: 沢田秀男 (正道会館)
4位: 内田義晃 (京都支部)
中村道場出場者リスト