覇気・美学・昇華
今回の大会は一本勝ちや技ありが、少なかったものの、実に見ごたえのあるウエイト制でした。覇気の溢れる、好試合の連続でした。やはり極真空手の試合は、こうでなくてはいけません。 少々、顔を叩かれようが、怪我をしようが、ひっくり返ろうが、ガンガンいってもらいたいものです。
徳田選手は最後までアグレッシブルな闘いで、悲願の優勝を勝ち取りました。おめでとう!
住谷選手。大変な怪我を克服し、見事なカムバック振りでした。お帰りなさい!
松岡選手。最後の決勝のツケは残念でした。8月の世界ウエイト制大会でのケジメ見させてもらいます。
そして、中村道場選手の皆さん、今後とも極真らしい熱く・強い試合をよろしくお願い致します。
今回、空手の試合を初めて観る、という、知人を招待する機会がありました。興味津々会場に来られたその方は、試合内容はもちろん、会場の片隅で、選手の一人が、「足の指折れちゃいました!」と蚊に刺された程度に、セコンドと明るく喋っている姿に驚き、いたく感動しておりました。やはり極真空手は、こうでなくてはいけません。(負けてしまった選手なのでしょうか。対戦相手に伝わったら最悪の情報ゆえ、選手としての試合に臨む姿勢は改めてもらいたい所ですが、頼もしい光景です。)
とはいえ、トーナメントゆえ、怪我・ダメージは少ない方がよく、何よりも、大怪我は選手生命を縮めるし、日常生活にまで支障を来たします。そんな大怪我を負った住谷選手が復帰を飾り、表彰台に登ったのは、試合内容以上に感動したものです。縁あって、彼のリハビリ治療の一助になればと、知り合いの専門医<バイタルリアクトセラピー療法>を紹介させてもらい、復活にいたるまで、見守らさせてもらいました。想像を絶する絶望からの立ち直り、そして治療にかける前向きな姿勢、武人としての佇まいに、専門医も、元来熱い心の持ち主だけに大感激。会うたびに、住谷選手の凄さ・人間性について語り、感動しておりました。
住谷選手より、試合前日に、通年の治療の感謝と大会に向けての熱い決意のメールをもらい、またまた感激。以下はその専門医のブログからの抜粋です。
再起を期して臨む大会前夜に頂戴した、熱いメール。なかなかこれだけの決意と胆力を示せる人間は居ないと思います。
試合の結果は、準優勝。
凄いです!
一戦一戦が魂のこもった、素晴らしい闘いでした!
今回の怪我で、二年に及ぶ闘病生活の中、
一時は精神的にも心配な程に追い詰められていた。
強さにアイデンティティーを求める一人の武士は
あきらめない心が奇跡を呼ぶことを見せて下さいました。
私も、微力ながら協力出来たことを嬉しく思います。
『想いは必ず叶う』
『常に笑顔で!』
私もこの2つを再度忘れないようにします!
己自身も向上し、周りにも良い影響を与える。やはり極真空手は、こうでなくてはいけません。試合に限らず覇気あふれる言動には、このように人を無条件に引き付けるものがあるようです。
人間も生物。エネルギーを常に吸収しなくては生きていけないという本性がそう働きかけるのでしょうか。
いずれにしろ、草食系などという言葉が溢れかえっている昨今。もてはやされているのか、揶揄されているのか良く判りませんが、覇気と正反対に位置するこの言葉を真に受けていては、日本に明るい未来はありません。
闘う競技だけではなく、物事に対し、真摯に打ち込む姿勢は、常に美しいものがあり、全てを成長へと向けさせる要因のひとつです。極真空手の、人間成長の一助となる点でも完成されたルール。その大会を通して、退廃しつつある社会に警告と勇気を与える意義は大きいものがあるでしょう。
もちろん、覇気だけでもいけません。最近、中途半端なプロもどきや、技術や礼儀・精神性を無視した喧嘩の延長線上の大会も目にします。とかく、安易な方向に人は流れていきますが、真の筋道、義を見失ってはいけません。ド突きあいの中にも相手を敬う精神・ルールがなければ、興奮する事はあっても、そこに感動と共感を呼ぶ事はできないのです。
極真空手が、相撲や柔道に先がけて、ガッツポーズを禁止したのは、さすが、大山総裁といえるでしょう。極真空手の理念に改めて誇りを感じます。真剣な対峙ゆえ、礼儀は必要であり、礼儀があるゆえ、やる所までド突きあえるのでしょう。礼儀の上に成立している、常軌を逸したストイックな美学こそ、極真精神を現わしているといえるのではないでしょうか。
そして、美学も独りよがりではいけません。最終的には万人に対し、共感を与え、公に帰するものでなくてはいけません。空手道を通し、常に前向きな捉え方を行い、人を倒すだけの武術・武芸を、克己を高め、人を活かす武道にまで昇華させなくてはいけません。「スポーツとしてやっているだけ」「チャンピオンになりたいだけ」
そう思っているだけの時期があるかもしれません。ある時期はそれも仕方のない通過点かもしれません。しかし、長く続け、深さを追求していけば、おのずとそれだけではない道が現れてき、一つの方向性を指しはじめ、周囲にも影響を与え始めていきます。それ故、責任と使命感がつきまとうのです。そこに、極真空手の武道としての奥深さを感じます。
さらに、公に役立つ武道家として昇華していければどれほど素晴らしい事でしょうか。
毎年行われるウエイト制大会。ともすれば、ただの一つの行事として見過ごしている道場生・関係者が多くいます。改めて振り返り、初心の気持ちで見直すと、そこに集約する多くのドラマに胸踊り、感動を覚え、責任と義務感に身が震えます。我々は、素晴らしい理念を、明確に露出する媒体を持っているのです。
どうか選手の皆さん、そこに誇りと使命感を再確認し、より強く、熱くなりましょう。
指導者の皆さん、さすが極真と呼ばれる選手の育成に全力を注ぎましょう。
道場生の皆さん、選手を、仲間を盛り上げ、皆さんの大会にして下さい。特に若い世代は檜舞台に上がる素晴らしさを現実のものにしていって下さい。
そして、ウエイト制運営に携わった関係者・役員の皆さん。本当にいつもありがとうございます。
大会に参加していても、地下の駐車場担当や受付・ケータリング、会場警備などで試合を観る事の出来ない道場生がいます。コート運営で仲間の応援が出来ない係もいます。会場清掃や設営・撤去などでひたすら汗を流す裏方の係の方もいます。頭が下がります。大会実行のため、何ヶ月も前からプライベートな時間まで割き、運営に奔走しているスタッフがいます。
誰もが、大好きな極真のため、奉仕で活躍しています。
皆さんの「縁の下の力」なくして、選手の活躍はありえません。大会の成功はありえません。彼ら彼女らこそ、毎年、敢闘賞を渡さなくてはいけない極真空手の礎である事は間違いありません。ですから、くどういようですが、彼ら彼女らのためにも選手は強く熱くなりましょう。武道における「ノーブレス
・オブリージュ」です。
荒廃する現代。
選手・道場生一人一人が、それぞれの立場で、「さすが極真」と呼ばれるべき全力を尽くしましょう。
明るい未来のために。
小林 悟
天王寺・西成・阿倍野道場所属|師範代・分支部長
中村道場最古参の黒帯の一人。
大阪南支部創生期より中村道場を支え続け師範からも全幅の信頼を寄せられている。名伯楽でもあり数々の選手を大会に送り出し入賞を果たしている。近年では中川正士の活躍が突出している。96年に開設した天王寺道場を起点に現在では3箇所の道場運営を担当し極真空手の普及に努めている。
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