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交拳知愛

2008年7月13日 テクノロジーと極真

人間の歴史を通じてテクノロジーの進歩には澱みが無く、時代が変遷するにつれ私達の生活は便利になっていきます。伝統を重んじる空手の世界でもそれは充分感じることができます。例えばメディアシステム。

極真空手の組手試合はスポーツの世界で言えば個人競技に属しますが、水泳や陸上競技と決定的に違う性質を持っています。それは対戦相手の絶対的な存在です。相手の動きが自分のパフォーマンスに直接影響を与える特性は極真を含む武道・格闘技に通じたものです。従って試合運びを優位に進めるためには対戦相手の動きを事前に研究する必要があります。ここにテクノロジーの進歩が関わってきます。

全日本大会の黎明期にあった70年代から80年代初頭はテレビ以外のビジュアルメディアシステムは皆無と言ってもいい状況でした。選手は相手の動きを研究しようにも媒体が無かったのです。大会会場において肉眼で見たものが全てで、後は自分の記憶力が唯一の頼りでした。しかし80年代中盤になり、ビデオテープが普及し始め、状況が一変します。極真の大会を専門に扱う「メディア8」というビデオ制作販売会社が通信販売を開始しました。この画期的な販売方法は地方にいながらにして全日本大会の観戦を可能にしたのです。選手にとっても技の研究にはビデオは欠かせない媒体となりました。90年代にはビデオカメラが普及し始め、地方大会や交流試合を自分で記録に収めることを可能にしました。

そして現在はDVDが主役にとって代わっています。このデジタルメディア媒体は大容量かつ軽量という二つの特徴を備えており、アナログであったビデオテープではハイライトシーンのみの収録が、DVDでは全試合ノーカット再生という製品化を実現させています。対戦相手の研究材料としては完璧と言っても過言ではありません。この先、DVDがメモリーカードなどの記憶媒体に変わるのか、それともハードディスクに変遷していくのか予想はつきません。いずれにしても選手にとっては、インターネットの発展も手伝い、より手軽に相手の情報を事前に知ることが可能になっていくことでしょう。

メディアシステムの発展は技術進化の促進というポジティブな要素を極真空手にもたらしてきました。一方で組手スタイルの画一化という負の要素も生んでいます。「一本勝ち」という極真の醍醐味を具現していくには、テクノロジーの発展を超えたところに存在する選手の自覚が最後には物を言うはずです。


注)中村道場という一団体に掲載されるコラムであるため私的な題材や意見は極力避け、一般的な内容に的を広げてあります。しかし文章作成上、全ての主観を取り除くことは不可能であることもご理解下さい。上記の文章内で不快な気分を持たれた方は、このコラム蘭はあくまでHP係りが提供しているものであり中村道場全体の意見を代表しているものではない、ということをご理解ください。

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