■ 交拳知愛
2008年4月17日 レトリック
現在アメリカで一番ホットな話題は大統領選挙でしょうか。日ごとに過熱するメディア報道は視聴者にとって食傷気味になってきているものの、大国アメリカの酋長を決める一大行事ですからこれも致し方ないかもしれません。
共和党は予想通りジョン・マケイン上院議員を候補に推すことで早期に一本化されました。一方の民主党はヒラリー・クリントン、バラク・オバマ両上院議員の対決に未だ決着がつかず候補指名は長期化しています。
初の女性大統領もしくは初の黒人大統領か?で盛り上がりを見せる民主党の予備選は、当初ヒラリー・クリントン氏の有利が伝えられていました。夫である前大統領のビル・クリントン氏の後押しと豊富な人脈を持つクリントン氏に対し、若いオバマ氏の経験不足がその理由に挙げられました。
しかし予備選が進むにつれ戦局に変化が現れます。各州での予想に反するオバマ氏の健闘が光り、3月に入った時点で形勢は逆転してしまったのです。このオバマ氏善戦の主因の一つに彼が持つ修辞力の高さが挙げられています。レトリックとも呼ばれる修辞学は、言葉を巧みに且つ美しく用い効果的に持論を相手に伝える学問ですが、これは特に欧米で確立されており、政治家にとっては必要不可欠な能力です。
オバマ氏は党員集会が開かれる度に自身の持つ高い修辞力を発揮し説得力を持った演説を投げかけ支持の拡大に成功しました。「変化」「改革」「未来」といったポジティブな単語をテーマに据え、ストレートで韻を踏んだ美しい表現が聴衆の心に印象深く響きわたったのです。
空手の指導者にも一定の修辞力が要求されます。稽古中に投げかける言葉や、稽古終了時に行う短い訓話は道場生のやる気を増大させる上で大切な要素です。大山総裁、中村師範、磯部師範といった一流の指導者は自ら発する言葉を道場生のエネルギー源として変化させてしまいます。
翻って日本の政治家はどうでしょう。小泉元総理以外に高い演説能力を持った現在の政治家の名前がすぐに思いつきません。自分の伝えたいことを支持者の心にまで浸透させるレトリックの必要性は政治でも武道の世界でも同じようです。■
注)中村道場という一団体に掲載されるコラムであるため私的な題材や意見は極力避け、一般的な内容に的を広げてあります。しかし文章作成上、全ての主観を取り除くことは不可能であることもご理解下さい。上記の文章内で不快な気分を持たれた方は、このコラム蘭はあくまでHP係りが提供しているものであり中村道場全体の意見を代表しているものではない、ということをご理解ください。
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